Love nest~盲愛~
突然耳にする『婚約した仲』というフレーズ。
初耳だ。
彼が言うように幼すぎてということには納得できるが、本当なのだろうか?
「許嫁ではありましたが、お互いに状況が理解出来なかった年齢でもありますし。なので、彼女には少し前に正式にプロポーズしましたし、彼女から承諾も頂きました」
彼が横に座る私へと視線を移した。
そうだよな?とでもいう風に。
「はい、許嫁の話は幼すぎて覚えてないですけど、彼のことが好きなので、プロポーズはお受けしました」
「何だか、台本があるような話の流れね」
「どういう意味でしょう、それは……」
「親の会社が無くなり、財産を失った貴女がこのようなお店で働くような真似をするからには、当然お金に困ってだと思うけれど、それで哲平さんや西賀の財産に目が眩んだのでは?」
「っ……」
言い方が下品すぎる。
覚悟はしていたが、こうもストレートにズバズバという輩がいるだなんて。
これをずっと耐えて来た彼が本当に凄いと思う。
私なら、直ぐにでも盾突いて髪の毛毟り倒してやるのに。
彼が宥めるように握り拳をトントンと優しく叩く。
それが無かったら、席を立ってる所だ。
「私のことを貶すのは幾らでも耐えます。けれど、彼女への暴言は聞き捨てなりません。近いうちに彼女とは入籍しますので、それを機に西賀から籍を抜く手続きをお願いします」
彼はそう言うと私の手を取り立ち上がった。
「今日の所はこれにて失礼します。後日改めて、弁護士を通してご連絡しますので。えな、行くぞ」
「はい、お先に失礼します」