Love nest~盲愛~

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哲平は秘書の佐川の運転でとある場所へと向かった。

到着した先は、御影グループの本社。

数日前に西賀の養父母と会食した時の事を報告すべく訪れた。

専務室に通された哲平は、手土産に夫人の好きな豆腐専門店の品を持参して。


「良かったな、希和」

「はいっ!西賀さん、いつも有難うございます。あ、もう岬さんでしょうか?」

「あ、いや、まだ西賀です」

「そうなんですね……」


専務である御影 京夜の秘書をしている希和夫人。

スレンダーのアジアンビューティーな人で、彼の幼なじみだという。

だからというのもあるかもしれない。

俺とえなの関係も、幼なじみだから。

親近感が湧くと同時に、似た境遇が引き寄せる言葉では言い表せない感情を理解してくれそうな気がして。


「では、ごゆっくり」


夫人は珈琲と洋菓子をテーブルに置くと、丁寧にお辞儀をして部屋を後にした。


「で、どうだった?メールではまずまずな感じだったようだが」

「ん、流れ的にはまずまずなんだが、どうもやっぱりスパイが潜り込んでるというか、大体の見当は付いてるんだが……」

「前に言ってたやつか?」

「ん」


少し前にも気になる事があって、彼に相談していた。

こういうことは日常茶飯事らしく、その手の処理の仕方の知識も豊富だから。

西賀の会社の規模は決して小さくない。

幾つもの子会社を持ちながら、色んな業種の会社を買収したりしてる分、ある意味悪い噂も立ち易くて。

だからこそ、縁を切りたいというのもある。

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