Love nest~盲愛~

彼の愛車で自宅を後にして、暫く走り、高速道路に入る。

どこへ向かっているのかは分からないが、彼が時折小さく溜息のようなものを吐く。

それが気になってしまって……。

何か、心配事でもあるのだろうか?

電話の会話から、『えな』というフレーズが気になるし、私に関しての事なんじゃないかと気になって。


「哲平さん」

「ん?」

「私に内緒ごとですか?」

「………」


無言だというのが、いい証拠なのかもしれない。

否定しないのは肯定したのと同じ。


「浮気、……ですか?」

「フッ、するように見えるのか?」

「だって、男性は愛が無くても女性を抱くんでしょ?」

「誰に教わった、そんな事」

「『violette』のあかりさん」

「あぁ、確かにそういう男はいる」

「じゃあ、哲平さんも?」

「一緒にするな。ってか、PAに止まるから、一旦休戦。事故るぞ」

「……ごめんなさい」


高速道路を運転中だった。

だけど、彼がそう質問させるような仕草をしたのがいけないのに。

私が責められてるみたいになってる。

程なくして、港北PAに到着した。


「何か飲み物を買いに行くけど」

「一緒に行きます」


彼一人に買いに行かせたら、ますます気まずい雰囲気になりそうだもの。

車から降りて運転席側に回ると、キーロックした彼が手を差し出した。

その手に自身の手を乗せ、体を寄せる。

哲平さんとは喧嘩したくないから……。


「さっきの話の続きだけど」

「はい」

「浮気はしてないし、するつもりもないし」


そう口にした彼は私の耳元に口元を寄せた。


「他の女を抱く暇があったら、お前を毎晩抱くから心配するな」

「っ……」

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