Love nest~盲愛~



彼が耳元に呟く時は危険だと認識しなきゃ。

夜だからまだしも、顔が上気して人とすれ違うのも気になってしまう。

自動販売機でカフェオレを買って貰い、車へと戻ろうとすると、彼が不意に足を止めた。


「どうかしましたか?」

「内緒ごとではないが、話してないことがあって」

「……はい」

「恐怖心を植え付けたくないから黙ってたんだが……」


彼が言葉を噤んだ。

その先がきっと言いづらいことなのだろう。

だから、今まであえて言わずにおいたのだろうから。


「とりあえず、車に戻りましょう?」

「そうだな」


別に別れ話をしているわけじゃないけれど、彼が深刻な顔をするから、すれ違う人の視線が気になってしまう。

彼の手を引いて、車へと戻ることにした。



「どうぞ。大体の予想は出来ているので、何でも話して下さい」


彼が少しでも言いやすくなるなら、私に出来ることはこれくらいしかない。

どうせ、先日の会食の時のがあって、西賀の人から嫌がらせを受けてるとか、監視が酷くなったとか、いい話ではないだろう事は予想している。

カフェオレをホルダーに入れて、体の向きを彼の方へと向けた。


「どこから話すべきか迷うんだが、そう遠くないうちに養子縁組の解消手続きをするから」

「はい」

「ただ、その前に、解決したい問題があって」

「はい」

「スマホを貸して貰えるか?」

「スマホですか?」


突然スマホが必要と言われ、バッグから取り出し、それを彼に手渡すと。


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