Love nest~盲愛~
「また会えたな」
「ッ?!あなたは………」
リビングと思われる広々とした部屋のソファーに男の姿がある。
何日か前にホテルの和食処で顔を合わせた、哲平さんの義兄だ。
何故、ここに?
私は哲平さんに呼ばれて、予約したお店に来たはず……。
えっ、もしかして、騙された?
そうか、哲平さんが言っていたスパイとは……彼だったんだ。
後悔してももう遅い。
注意が足りなかった自分が悪いのだけれど……。
すぐさま震える手でバッグの中からスマホを取り出そうとした、その時。
「んッ?!!」
「俺がいるのに、誰を呼ぶつもりだ」
腕を掴まれてしまった。
しかも、まだ16時だというのに、お酒の匂いがプンプンとする。
リビングテーブルの上に視線を移すと、高級なウイスキーとワインのボトルが何本もある。
どうしたらいいの?
怒らせるような事をしたら逆上しそうだし、従順なフリをすればいいの?
「相手をしろ」
「っ……」
目が据わってる。
完全に酒に飲まれてる。
腕を掴まれ、ソファーに無理やり連れて行かれる。
強引に放られた体は軽い衝撃を受け、行き場を失う。
*
哲平の義兄・孝之はえなを一目で気に入っていた。
哲平のものは全て奪わねば気が済まない性格で、えなももれなく自分のものだと勘違いしている。
ソファーに倒れ込んだことで露わになった足先に孝之の手が。
「やっ、……触らないでっ」
「アイツには勿体ない。こんなに可愛らしい女は久しぶりだ」
「っ……」
顎を掴まれ、息をのむ。
キッと睨みつけても意に介さない様子で……。