Love nest~盲愛~
視線を逸らした先にあるものに目が留まった。
カラフルなラムネ状の錠剤。
『violette』であかりさんから教わり、客から勧められても口にするなと。
あの時見た写真状のものと同じものが目の前に散乱している。
この人、薬をしてる!!
だから、真昼間からお酒飲んだり、異常な行動を今までしてたんだ。
元の性格も悪いだろうけど、それにこれらがプラスされれば、到底手に負えない。
どうしよう。
ここから抜け出せるだろうか?
スマホが入っているバッグは入口の傍に落としてしまったし、窓から逃げるにしてもどれも腰高の窓だし。
きっと、ここへわざわざ誘導したくらいだから、玄関は閉まってるだろうし。
結構山奥っぽい坂を上って来たから、ここから出れても人家は少ないかもしれない。
あ~ぁ、来る時に周りの景色をちゃんと見ておくんだった。
まさか、彼がスパイだなんて思ってもみなかったから……。
「お、お酒でもっ、作りましょうかっ」
「そう言えば、キャバクラに勤めてたんだよな?」
「み、短い間ですけど……」
「男の指南技も教わったんだろ?」
「っ……何のこと……でしょうか?」
隣りに座った彼が、間を詰めて来る。
彼の膝が太腿部分に当たって、腕が腰へと伸びて来た。
「ウイスキーでいいですか?」
Vネックの胸元を隠そうと前屈みになって氷をグラスに入れ、マドラーで撹拌する。
そして、ボトルを手に取りグラスに傾けた、次の瞬間。
背中に手を当てた彼が、指先で弾いた――。
「え、ちょっ……何をしたんですかっ!」
「何って、……分かってるくせに」
彼にブラジャーのホックが外されてしまった。