Love nest~盲愛~
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「ッ?!!……っ……」
哲平さんの義兄に肩を掴まれ、ソファーに押し倒されてしまった。
お酒の影響で目が据わってるのか、薬物のせいなのか分からない。
けれど、どちらにしたって今の状況は非常事態に変わりはない。
不意に脳裏を掠めた記憶。
2カ月弱前にも同じような状況に陥った。
あの時の相手は素性の分からなかった哲平さんだったけれど。
何故だろう?
あの時と同じようには感じない。
あの時は危機感はあっても、命に危険を感じなかったからなのか。
心のどこかでほんの僅かにでも望みがあったように感じる。
けれど、今は全くの別物。
薬物中毒の恐ろしさは、あかりさんから聞いている。
下手したら殺されることもあると。
急に背筋が凍り付いた、その時。
目の前の彼の視線がとある場所に留まっていた。
「へぇ、あんた、あいつに抱かれたんだ」
「っ……」
体勢を崩したことで、Vネックの襟元が僅かにはだけて、今朝哲平さんが付けたキスマークが彼にバレてしまったようだ。
胸元を見下ろしながら覆い被さるように馬乗りになって、舌なめずりをしている。
気色悪くて吐気がして来る。
哲平さん、助けて……。
肩をソファーに押し付けるようにしていた手が顎を掴み左右に振られ、テーブルの上にあるウイスキーのボトルがえなの口元に容赦なく注がれる。
ゴホッと吐き溢すえなは、必死に口を閉じて抵抗を試みた、その時。
ガチャッという音が耳に届いた。
目の前の男も体をビクッと強張らせ、入口の方に視線を向けた、次の瞬間。
「何だ、母さんか……」
「何だとは何ですかっ、わざわざ頼まれたものを持って来て上げたのに………って、その子、哲平の……」