Love nest~盲愛~


「美味しいワインを口に出来ただけでも幸せです。お世話になりました」


涙で滲む顏を隠すように頭を下げて、彼の前から立ち去ろうとすると。


「んっ!?」


またもや手首を掴まれてしまった。


「何か、勘違いしてないか?」

「何かって、何をです?私はこの店をクビになったんですよね?」

「………あぁ」

「だから、ここから出て行くんですけど」

「出て行くって、どこに?」

「それを聞いてどうするんです?貴方には関係ないじゃないで「関係ある」

「へ?」

「さっき、言ったよな?………お前の全てを貰うと」

「…………………?」

「どんな手を使っても、俺はお前の全てを手に入れる」

「ッ?!」



何の話?

さっきの言葉は試験用の台詞よね?

………どういう事?

彼の意図が分からず、混乱してしまう。

じゃあ、何?

私は解雇になって、その後………どうなるの?

必死に答えを探し求めていると、


「諦めろ。もうお前は俺のモノだ」

「…………っ!!」


ちょっと待って!

もしかして、貴方の女になれって事?

いや、『モノ』と言ったのだから、『奴隷』にでもなれっていうの?

良くて『玩具』ってところよね。

そりゃあ、一時は関係をも認めようとしたけど、それとこれとは話が別じゃない?


「じ、冗談です……よね?」


消え入りそうな声音で尋ねると、


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