Love nest~盲愛~
入籍祝いにと、彼がフレンチレストランを予約してくれていた。
しかも、超有名なホテルの高層階にあるセレブ御用達の有名レストランだ。
何年か前に雑誌で見たことがある。
個室は予約しても数か月待ちだという、超人気店。
今日入籍する予定だと分かっていたわけではないだろうから、どうやって予約が取れたのか……。
怖くて聞けない。
彼の人脈もそうだけど、御影さんといい、実業家と呼ばれる方々の交友関係は想像もつかない。
名ばかりの社長という肩書はあっても、私なんて人脈は皆無に等しい。
これから、彼らのように上手く世の中を渡って行けるだろうか?
「どうした?具合でも悪いのか?」
「あ、いえ。……現実を受け止めるのに、時間がかかりそうです」
「どういう意味だ?」
都内が一望出来る個室の窓際の席で、夜景を観ながら美味しいお料理を戴く。
私好みに少し甘めのワインもチョイスしてくれたようで。
嬉しさと戸惑いと、そしてかなり多めの不安と。
色々な感情が複雑に交差して、美味しいお料理の味が台無しになりかねない。
「私、『社長』と言われても、やることも経営も何も分からないのに社長でいいんですかね?」
「暫くは俺が社長代行として経営しとくし、今すぐでなくても大丈夫だぞ」
「でも、それでは哲平さんの負担がますます増えてしまいます」
「1つや2つ増えた所でそれほど変わらない。自分の会社だってもっと拡大しようとしてるんだから、気にするな」
「……でも」
彼からしたらまだまだ子供。
社会の基礎すら理解してない私が、沢山の従業員の生活を左右する地位に就いてていいのだろうか?
「それなら……」