Love nest~盲愛~



帰宅すると、着替えが用意されていて、シャワー後にそれに着替えると、彼が湿布を持って現れた。


「何から何まですみません」

「大学の手続きは明日にしような」

「あ、そうだった」

「今日は気疲れしただろうから、ゆっくり休め」

「もう行っちゃうんですか?」

「……誘ってんのか?」

「え?………そうなりますかね?」


ベッドに腰掛けた状態で足首に湿布を貼ってくれた彼が、自室へと戻ろうと腰を上げた。

けれど、夫婦になっても別々の部屋だし。

すぐ隣だから行き来出来ない距離でも無いんだけど。

彼が私の元から離れることに寂しさを覚えたのか、彼の服を掴んでいた。


「そういう無自覚症状、ホント昔から変わってないな」

「へ?」

「まん丸の目で俺を見上げて、抱っこしてだのおんぶしてだの可愛いおねだりしたり」

「そっ、そんな事言いましたかね……私」


恐ろしい。

何て小悪魔な娘だったのだろう。

6歳も年上だから、だいぶ大人に感じていたんだろうけど。

それにしたって……。


「えなは覚えてないだろうが、俺が中学に上がってすぐの頃に背中に傷負ってて。痛いだろうから添い寝してあげるって、2時間くらい抱き付かれて」

「え……」

「まだあるぞ。足を骨折した時なんて、お風呂に1人で入れないだろうからって、俺がシャワーしてる所に乱入して来たし」

「え゛っ……」


やり過ぎにも程があるでしょ……。

中学生という多感な時期の男の子相手に、ガンガンアピールしてたのね……私。


「わ、忘れて下さいっ……今すぐ」

「何でだ。いい思い出だろ」

「っ……」

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