Love nest~盲愛~

穴があったら入りたい、今すぐに。

『しないで後悔するくらいなら、して後悔した方がいい』というのが父の口癖。

だから、私も幼いながらに何でも挑戦する子に育っていたのかもしれない。

母親がいない分、寂しい想いをさせたくない父親が、何でもやりたい事をさせてくれた。

それが彼にとって悪影響だったなんて……。


「ごめんなさいっ、黒歴史作ってしまったようで」

「何でだ。俺はいい思い出だと思ってるし、えながいなかったらあの日々は耐えられなかったから」

「え?」



彼が言うには、両親が亡くなり、暫くの間はお手伝いさん達と自宅で過ごしていたらしい。

けれど、未成年が相続することもあって、西賀が首を突っ込んで来たらしく。

元々父親は一人っ子だったことと、両親の両親である祖父母が他界していることもあって、相続関連は揉めたらしく。

結局、養子縁組という形で戸籍上は落ち着いたかに見えた。

けれど、日々の虐めは度を増すばかりで。

元々文武両道の彼はそつなく何でもこなせてしまい、それが孝之の気に障ったようで。

そんな過酷な日々の中に、墓参りに行くといって、数カ月に一度、外出を許されたという。

その時に私の父親が自宅に呼んでいたようで、その日々は彼にとって天国だったようだ。


「言っておくが、先にプロポーズしたのも、えなだからな?」

「えっ、何ですか、それっ?!!」

「やっぱり覚えてないんだな」

「………」


怖い怖い怖い。

頭のいい人の記憶力って、どこまでいいの?

あ、でも、既に彼は中学生だっただろうから、覚えていても当然かもしれないけれど。

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