Love nest~盲愛~

ちょうど授業終わりなのか、玄関ホールを出た所なのに結構な人がいる。

そんな中で彼の腕に絡ませていた腕が解かれ、代わりに彼の腕が私の肩へと。

抱き寄せられる形で歩き始めた彼。

そんな彼が歩きながら、私の耳元に恐ろしい一言を投下した。


「えなの送り迎えが楽しみだな。そしたら、毎日えなが嫉妬して、俺に甘えたくなるだろ」

「なっ……」


腹黒もいいところだ。

きゅっと持ち上がった口角が憎らしく思えて来る。

けれど、ある意味、これも彼なりの愛情表現だと思えば。

彼にとったら、私が甘えることなんてきっとかわいいものだろう。

もしかして、私に甘えて欲しいのかな?


「哲平さん」

「ん?」

「私に甘えて欲しいんですか?」

「当たり前だろ」

「え」

「男なんて、好きな女に甘えて貰いたくていい顔するんだから」

「っ……、例えば………どんな?」

「例えば?……えなに言われること、全部」

「は?」

「だから、えなが言うことなら、何でも可愛く甘えたように見えるって話」

「っ……」


それって、どんだけ私のこと、好きなの?

お世辞だとしても殺し文句だと言えるくらい凄い事だよ。


「キスしてでもぎゅーしてでも抱っこしてでも。アレ欲しいコレ欲しい、どこどこ行きたい、あそこに連れてってとか。どんなことでも叶えたいと思うから、いつでも何でも言っていいぞ」

「哲平さん、そんなに甘やかしたら、私蕩けちゃいますっ」

「そう仕向けたいんだから、されるがままにされてろ」

「っ……」


大人の男の人を相手にするのは難易度が高すぎる。

軽い眩暈を覚えた、その時。


「俺無しでは息も出来ないほど、俺漬けにしてる最中だから」


耳元を甘く毒す言葉は破壊力が凄まじい。

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