Love nest~盲愛~

『えなとみさきおにいちゃんのいえ』と題された絵。

そこには、今私が住んでいる彼の家が描かれている。


「これって……」


どういうこと?

6歳だか、7歳くらいの子が描いた絵の家を建てたってこと?

当時、彼は中学生だったはず。

そんな前から、たかが子供がお遊びで描いた絵の家を……?!

たまたまかもしれない。

もしかしたら、分かってて建てたかもしれないけれど。

彼もこのデザインが気に入っていたのかもしれないし……。


脳内が突如、恐ろしいほどにぐるぐると渦を巻くように『?』が周回している。

彼の思考回路は時々読めなくなる。

というより、次元が違うのかもしれない。

考えれば考えるほどドツボに嵌り、クラクラとした眩暈に襲われる。


窓際のソファーに腰掛け、気持ちを落ち着かせる。

心地よい秋の日差しを浴びながら、遠い記憶を手繰り寄せてみるが、何も思い出せない。

小学校に入ったばかりの頃だったし、その後に何年も彼に会えなくなったから、記憶が曖昧すぎて。

一語一句覚えてるだなんて不可能だし、15年という歳月の中に色んな事が詰め込まれて、遠い記憶が薄らいで仕方ない。

そう自分自身に言い聞かせ、凭れるようにして瞼を閉じた。

彼との想い出を少しでも思い出せるように……。



「えな、……えな?」

「っ……、……哲平さん?」

「具合でも悪いのか?」

「え……?」


外回りがあったからと、いつもより2時間も早く帰宅した彼。

いつの間にか寝てしまった私を心配してくれているようだ。


「大丈夫です。ちょっと疲れただけ」

「ならいいけど。気分が悪いなら病院連れて行くぞ?」

「大丈夫ですって」

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