Love nest~盲愛~

『夜は家にいるだろ。俺の隣に寝てくれれば、それでいい』

彼に言われた言葉が反芻する。

彼の気持ちが知りたい。

彼にとって私はどういう存在でどういう位置づけなのか。


一緒に寝る=エッチをする、という方程式しかないのだろうか。

生理の時だってあるし、この先妊娠することだってあるかもしれない。

そんな時、彼とずっと別々に過ごさないとならないのかな?

こういうことを尋ねたこともなければ、聞かれたこともない。

私は彼の指示に従うだけの存在から、恋人に昇格して、今では妻にまで上り詰めた。

けれど、以前と殆ど変わってないように思う。


『どんなことでも叶えたいと思うから、いつでも何でも言っていいぞ』

彼が言ったセリフ。

甘えるという事がどんなことなのかよく分からないけれど、もし一緒に寝たいと言ったらOKして貰えるのだろうか?


お酒の飲み過ぎでそのままダウンしてしまったようで、服も髪もそのまま。

少し動いただけで、炭の焦げ臭い匂いがする。


「シャワー浴びよ」



浴室から出た私はショーツを穿いて、ナイティードレスを身に纏う。

その上にガウンを羽織って、肌の手入れをして髪を乾かす。

シャワーを浴びながら脳内を整理していた。

どう考えたって、やっぱり腑に落ちない。

毎晩だって隣で寝たいのに、勇気を出して重厚感のあるドアをノックしないと一緒に寝て貰えないって。

それって、妻として失格じゃない?

妻が寝ているベッドに旦那様が夜這いに来るならまだしも、妻が機嫌を窺って忍び込むって……。

この先もこんな生活が続くのかと思うと、切なくなる。

意を決して、隣の部屋の重厚感のあるドアを静かに開けた。

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