Love nest~盲愛~
温かい息が首筋に纏う。
彼の唇が触れている部分が熱い。
更に身体を拘束するように、肩先をグッと押さえられた。
抵抗する気力もなければ、動く力さえも奪われて……。
ただただ、彼がする事をじっと受け入れるしかなかった。
首筋に寄せられた唇が、肌の感触を確かめるようにゆっくりと這って。
そして、その痕跡を残すかのように、僅かな痛みを引き連れて……。
熱い吐息の感触が遠退き、ゆっくりと瞼を開けると。
妖艶な眼差しの彼がじっと私を見下ろしている。
「契約の証だ」
「………へ?」
「お前が俺のモノだという、等価交換の証」
「っ………」
「キスマークじゃ直ぐに消えそうだな。歯形にしときゃ良かったか」
「ッ?!」
はっ、歯形っ?!
この人、何言ってるの?
契約の証だからって、咬む必要はないわよね?!
彼が何を考えているのか理解出来ず、恐怖のあまり硬直していると。
「俺の名前は、西賀哲平だ」
「ふぇっ?」
「西賀、哲平」
甘く痺れるようなバリトンボイスが降り注ぐ。
『西賀哲平』すぐさま脳内にインプットされた。
色気のあるその声が脳内に反響し、存在感を成す。
「えな」
「っ…………はい」
「今日はゆっくりと休め」
「………へっ?」
「慣れない環境で疲れが出るだろうから、今夜はもう休め」
「………………はい」
彼は私の上から退いて、私の頭を一撫でしてから部屋を立ち去った。
ジンと熱を帯びる紅い華を散らし、甘いバリトンボイスの余韻と煙草の残り香を置き土産にして………。