Love nest~盲愛~
「もう少し、太った方がいいな」
「……へっ?」
「抱き心地がいまいちだ」
「っ………」
「今日は栄養のあるモノを食わせてやる」
「………あっ、………ありがとう……ございます」
「ん、昼までゆっくりしてろ」
「………」
「じゃあ、行って来る」
「んッ?!」
髪を軽く纏め上げているせいで耳が露わになっているのをいい事に、彼はその場所を甘噛みして行った。
抱き締められただけでドキドキしてしまって顔が紅潮してしまうというのに。
『行って来ます』のキスでなく、彼の挨拶は耳を甘噛み。
こういう挨拶が普通なのかすら、私には分からない。
彼に噛まれた耳が熱い。
彼に抱き締められた腰が疼く。
彼の吐息が掛かった頬が熱を帯びて……。
私の左胸はけたたましく警告音を発し続ける。
―――――彼に近づいては危険だと。
放心状態のまま廊下に立ち尽くしていると。
「えな様?………如何されました?」
「へ?……あ、今井さん。おはようございます」
「はい、おはようございます。ぐっすりお休みになられましたか?」
「あ、はい」
「お顔が少し赤いようですが、熱でもあるのではありませんか?」
「へ?あっ、いえ、違います!先程、シャワーを浴びたので………それで少し赤いんだわっ。あまりに気持ち良くて、ついゆっくりしてしまったから……」
苦し紛れの嘘を並べて、取り乱す自分を落ち着かせようと必死になる。
別に悪い事をした訳でも無いのに、どうにもこうにも心臓が煩くて堪らない。
そんな自分を隠すように俯くと。