Love nest~盲愛~
「坊ちゃまは、少し気難しい所がございますが、根は優しく思い遣りのあるお方です。どうか、坊ちゃまの事を宜しくお願い致します」
「っ!………………はい」
“宜しく”と言われても、私は彼の玩具に過ぎない。
けれど、彼の気分を害する事も。
使用人さん達と旨く立ち回る事も。
この屋敷の中での私には、『YES』しか答えは無い。
優しい笑みを浮かべる今井さんに愛想笑いを浮かべ、相槌を打つと。
「お食事の準備が出来ておりますが、如何されますか?」
「あっ、頂きます」
「では、ご案内致しますね」
軽く会釈した今井さんは、踵を返して階段へと歩を進める。
彼女の後を追い、階下のダイニングへと。
ガラスのテーブルの上に色鮮やかな野菜のサラダと、香ばしい匂いを漂わせる焼きたてのパン。
厚切りのベーコンと半熟の目玉焼きと、濃厚なコーンスープ。
そして、瑞々しい色とりどりのフルーツ盛り合わせが目の前に。
高級ホテルのラウンジを思わせる煌びやかな造り。
そして、心地良いクラッシックの曲が淑やかに流れていて。
部屋のあちこちに飾られた花々や観葉植物に囲まれ、贅沢な朝食の時間が訪れる。
気遣ってくれたのか、部屋には私と今井さんだけ。
ダイニングに来る間に3~4人の使用人を見かけたが、彼女らはダイニングには姿を現さない。
1人で食べる食事は気が引けるが、じーっと大勢に見られるよりはマシかもしれない。
そんな事を考えながら、贅沢過ぎる朝食を頂いた。