Love nest~盲愛~


「そちらは、坊ちゃまのですね?」

「あっ、………はい」

「では、私がお預かり致します」

「あっ、いえ、大丈夫ですっ!これは、私が自分で渡しますので……」

「………左様にございますか?では、そうなさって下さいませ」


今井さんにジャケットを取られまいと胸元に抱き留めたのにもかかわらず、彼女は嫌な顔をするどころか、何故か、嬉しそうな表情を浮かべた。

慌てて弁解しようと視線を泳がせると、ますます嬉しそうに笑みを零す今井さん。


何だか、変に誤解させてしまったようだわ。

でも、私とあの人との関係がぎくしゃくしたものより、好意的な雰囲気の方が都合がいいに決まっている。

私はそれ以上何も口にせず、流れに任せる事にした。


「えな様、夕食のお時間までまだ少しございますが、如何なさいますか?」

「…………そうですね。お邪魔でなければ、お手伝いしたいのですが……」

「えっ?…………えぇ~っと、そう……です……ねぇ………」


今井さんは私の指先に巻かれた包帯を見ながら、言葉を濁した。


「無理ならいいんですっ!いつも何もせず、戴くばかりではと思ったので……」


私の言葉に驚いた彼女は、とても優しい表情で見つめ返してくれた。

そして……。


「では、テーブルのコーディネートを私と一緒に致しましょう。きっと坊ちゃまは、お喜びになられますよ」

「…………だといいのですが……」


あの人に喜んで欲しくて手伝う訳じゃない。

使用人さん達の手伝いをしたいだけなんだけど……。

でも、彼との関係が少しでも良くなるのであれば、何でもしなきゃ。


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