Love nest~盲愛~
一呼吸おいてから、目の前のドアがゆっくり開いた。
目の前には、未だ仕事着のままの彼。
Yシャツにベスト姿で私を見下ろしている。
「入れ」
「………はい」
顎で入室を促され、私は小さく頷いた。
これから起こる出来事全て、私には未知の世界でしかない。
男性経験の無い私にとって、恐怖以外の何物でもない。
愛する人と結ばれるのなら、きっと幸せだろう。
でも世の中には、そうじゃない人だっている。
本人の意思と関係なく無理やり奪われる事だってあるんだから。
それを思えば………マシだと思える。
だって、自分で決めた事なんだもの。
見た目は極上にイイ男だし、お金の心配だってしなくていい。
お姫様のような生活も保障されてるんだから、文句の言い様がない。
ううん、違う。
彼と『等価交換の契約』をした時点で、私は私で無いのかもしれない。
それでも命があれば、他に望むモノは何も無い。
私は感覚の無い足で部屋の中央まで歩み進めた。
彼の部屋は、白い大理石の床にブラックレザーのソファ。
黒のラグの上にキングサイズの白いベッド。
全体的に白を基調とした部屋に黒のアクセントが上品且つシックな空間を作り出している。
カツカツと靴音が近づいて来たかと思えば……。
「横になれ」
物凄い至近距離に彼がいる。
耳元に彼の吐息と甘いバリトンボイスが届いた。
私の視線の先には………。