Love nest~盲愛~


私を拘束するように両手をついた彼。

小動物をいたぶるようなそんな眼つきで見下ろされ、ますます恐怖心が植えつけられる。

私の身体を跨いでいる彼は、片手でゆっくりとネクタイを緩め始めた。

彼が動く度にムスクの香りが鼻腔を擽り、心臓が早鐘を打つ。


いつかは訪れるであろう日。

愛する人でなくとも、時が経てば思い出になる。

………そう自分自身に必死に言い聞かせていた。


彼をじっと見つめていたはずなのに、気付けば視界が歪んでいる。

やだ、私ったら………いい歳して泣くだなんて。

自分が決めた事なんだから、決して嫌なんかじゃない。

なのに、本人の意思とは関係なく涙腺が緩んでしまったようだわ。


どうしよう。

このままじゃ、嫌われてしまうわ。

面倒な女だと……。


私はギュッと瞼を閉じて、必死に気持ちを入れ替えようと……。

すると、そっと前髪が横に流され、ベッドがギッと軋んだ。


「フッ、何か勘違いしてるようだな」

「ッ?!」


甘美なバリトンボイスが耳元に届く。

勘違い?………私が??

彼が何を言っているのか理解出来ず、ゆっくりと瞼を開けると、


「その気は無かったんだが、お望みとあれば……」

「……………へ?」


意表を突いた彼の言葉に思わず彼とバチッと視線が絡まった。


「お前は何もしなくていい。俺を黙って見ていろ」

「…………?!」


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