Love nest~盲愛~
私がいたベッドサイドの反対側にブラックレザーのソファがあり、彼はそこにいた。
ブランデーを片手に長い脚を優雅に組んで、そして私を真っ直ぐ見据えている。
横になったまま彼を見るのは失礼かと思い、上半身を起こそうとすると。
「そのまま横になってろ」
「え?」
「そこからでも、俺が見えるだろ?」
「…………はい」
彼は何がしたいの?
私には彼がしたい事が全く分からない。
けれど、彼の指示に逆らう事は出来ないのだから、素直に指示に従う事にした。
少し乱れた前髪をそっと流して、ほんの少しだけ寝返りを打つような姿勢で彼を見つめた。
けれど、その後はこれと言って指示も無く、私は無言で彼を見つめるだけ。
そして彼もまた、無言で私を見ている。
時折ブランデーを口にして、その度にカランとアイスキューブが音を奏でるだけで……。
呼吸する事さえ躊躇うほど、室内に張り詰めた空気が重い。
全身に無数の針が突き刺さっているようで……。
ベッドに張り付けられているかのように動く事も出来ずに……。
「えな」
「ッ?!…………はい」
「今日はもういいぞ。部屋に帰って休め」
「へ?……………あ、はい」
どれほどの時をそうしていたのか。
それさえも分からないけど、彼の指示は絶対。
私は上半身を起こそうとすると、全身の筋肉が硬直してしまったようで全く動かなかった。
長時間緊張が持続したあまり、金縛りに遭ったみたいに……。
どうしよう、彼にバレてしまう。
視線を泳がせ、必死に自分の身体に言い聞かせていると……。