Love nest~盲愛~
一瞬暗くなったかと思えば、次の瞬間には体が宙に浮いていた。
ムスクの香りに包まれていた私の体は、フルーツの香りを仄かに忍ばせたアルコールの香りに包まれた。
「あっ………あの…………」
何て言ったらいいのか分らない。
正直に『動けない』って自白する?
必死に大パニックの頭で言葉を探し求めていると……。
「黙ってろ」
「っ……」
ニヤッと口角を上げた彼は器用にドアノブを回し、隣りの私の部屋へと。
そして、レースカーテン越しの月明かりが差し込むベッドに、私をそっと下ろした。
月明かりがあるとはいえ、室内は薄暗い。
私を見下ろす彼の顔は陰になっていて、ベッド上に横たわる私からは見え辛い。
慌てて御礼を口にしようとすると、いきなり彼の顔が近づいて来た。
「ッ?!」
彼は私の額に唇を押し当てた。
いつもいつも突然で、不意をつかれた私は硬直するしか術は無い。
ううん、違う。
拒否する事も許されて無いんだもの。
こうして、彼から与えられる事は全て受け入れるしかない。
私は静かに瞼を閉じた。
彼が私に何をしようが、私が拒む事は許されないのだから。
額から唇が離れると、私の体が右側に少し沈んだ。
彼がベッドサイドに腰掛けたようだ。
すると、少しひんやりする指先が頬を伝う。
そして、その指先は口元へと……。