Love nest~盲愛~


ロマネコンティと言えば、ワインの王様。

この店のドリンクメニューで一番高いし、今までオーダーされた事は無いと聞いている。

名前しか聞いた事の無いそのワインが、今……目の前のグラスに注がれているなんて。


そして、テーブルの上には豪華に彩られたフルーツの盛り合わせとセレクトチョコレートの盛り合わせ、そして、カプレーゼ・キューブが置かれた。


確か、ロマネコンティは店内価格120万円。

フルーツ盛り合わせは3000円~あった気がするけど、目の前の盛り合わせは一番豪華なものだから10000円。

セレクトチョコレートの盛り合わせは確か……1500円だったかな。

カプレーゼ・キューブが2000円?

指名料にVIPルーム使用料等も合わせて………あぁ、考えただけで卒倒しそう。


彼がワイングラスに手を伸ばし、私の方へグラスを傾けた。

………これって、乾杯って事よね?


「私も頂いて宜しいのですか?」

「………あぁ」


鋭い視線を甘く蕩けるようなバリトンボイスが中和させる。

心地良い感覚を覚えながら、すぐさまグラスを手に取り胸の高さでグラスを傾けた。

すると、ほんの一瞬だけ口元が緩んだ気がする。

ううん、グラスに口を付けるからそう見えただけかもしれない。


私は軽く会釈して、グラスに口を付けた。


初めて口にするロマネコンティ。

ツンとしたハーブの独特のシャープな香りと艶やかな紅色、果実味も味わい深くて……。

これがワインの王様なのね。


感慨深くグラスの中で輝く紅い液体をうっとりと眺めていると、グラス越しに彼と視線が絡まった。


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