yellow ribbon
episode.05
あの日から2週間。
何度か廊下ですれ違ったけれど、視線が合うことは一度もなかった。
あ。と気づいて、パッと視線を外して、でもやっぱり気になってもう一度チラ見をしてしまう。
それの繰り返し。
きっと夏樹くんは私が見ていることさえ気づいていないのだろう。
いつもあの整った顔を表情一つ崩さずに通り過ぎて行ってしまう。
それに寂しさ半分、安心半分。
睨まれたり舌打ちされたりして傷つきたくない気持ちと、気づいてさえ貰えないという悲しさ。
夏樹くんの中ではきっと小さい時にいじめてた女、位の位置付けでしか無いのだろう。
やった方は忘れてしまうものだから。