君と想い出をもう一度
◇゜。◆.・


「ラルムさんっ、私…見られていますっ」


街を歩きながらミュウが不安そうに言った。


半透明の幽霊のような姿では、目立つのも無理はない。


「そうだな…けど、そんな悪い目立ち方でもなさそうだぞ」

苦笑しながらラルムも答える。


さっきから聞こえる民衆たちの声は、ミュウを【妖精】だと言っているようだし、国の王子とジーヴルの娘だとは気づかれていないようだ。


「ミュウ、何か欲しいものはあるか?」


街中に出ている店をにこにこと見るミュウに、ラルムが尋ねた。

「あ…いえっ、そんな訳ではっ」


慌てて弁解するのを見てラルムがクスリと笑う。


「別に否定しなくていい。…このリボンなんかどうだ。お前、こういう赤色好きだろ」


朱のような、赤のような…夕焼け色。


何で分かったんだろう?

ミュウは首を傾げた。

私、この人のことちっとも知らないのに。

ラルムさんは私のこと、何でも知ってるみたい。


瑠璃色も夕焼け色も、私が好きな色。


私がラルムさんをよく知らないなんて不公平だわ。


「どうしたミュウ」

「好きです、赤」

嘘をつく必要もないので、そう答えるしかない。

だけど───なんかずるい。


< 20 / 35 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop