上司に秘密を握られちゃいました。

「クビ? こんなにいい人材をクビにするわけないでしょ? 
制服だって、まぁ勝手に作ったかもしれないけど、別にそれを着て悪いことをしたわけじゃないよね」


「もちろんです。外で着たのはあの時だけで……」と言いつつ、受付嬢気分で写真を撮ってもらったなんて、やっぱり恥ずかしい。


「それならOK。西里さんが制服を作ったことは、俺の心だけにとどめておくよ」

「ありがとう、ございます」


深々と頭を下げると「とんでもない」とまた笑う。


「よければその制服、持って帰って?」

「えっ、これ、ですか?」


ハンガーにかけて鴨居につるしてある制服に目をやって尋ねると、彼は頷いた。


「うん。ふたつとも」


これは、真山さんのお母さんの形見なのに。
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