上司に秘密を握られちゃいました。
「そんなことできません。こんなに大切な物を、私が持ち帰るなんて」
「大切だからだよ。
俺には残念ながら価値がわからないんだ。
西里さんなら、大切にしてくれるでしょ?」
「もちろんです!」
もちろん、一生大切にする。
コピーですら、時々クローゼットから出して、しわになっていないか確かめ、防虫剤と除湿剤を欠かすことなく置いているのに。
でも……さすがにそこまで図々しいのもどうかと思う。
「でもやっぱり、お母様の大切な形見ですから、この家に置いておいてください」
「そっか……」
真山さんはコーヒーを一口飲むと、私をじっと見つめる。
「それなら、またここに来てくれないか?」
それは、どういう意味?
私が首を傾げると、真山さんは再び口を開いた。