上司に秘密を握られちゃいました。

「いや、見たくなったらいつでもどうぞ。それより、西里さん、まだ時間ある?」


なんとなくぎこちなかったように感じたけど、それは気のせい?


「はい。特に予定はありません」


「それなら……」と彼は立ち上がり、部屋を出ていく。
どうしたのだろう。


「これ、昨日手に入れたんだ」


すぐに戻ってきた真山さんが東郷の紙袋から取り出したのは、重箱だった。
おせち、だ。


「昨日は走り回った疲れが出たのか、帰ってきてすぐに寝てしまって、箸がつけられなかったんだ。
もしよければ、正月気分を一緒に味あわない?」

「いいんですか?」


おせちなんて、実家を出てから食べた記憶がない。
ひとりで作る気にもなれないし、おせちよりおいしいと思うものはたくさんある。

だけど、やっぱり正月と言えば、これだ。
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