上司に秘密を握られちゃいました。

「有名な料亭のものも販売したけど、これは東郷オリジナル。
ブランドではないから価格は抑え気味で、だけどブランド店に負けないおいしさを目指したんだよ」


これがオリジナル?
さぞかし立派な料亭のものだとばかり、思っていたのに。


「食べて感想聞かせてほしいな。来年に生かしたいんだ。
実はチェックのために、一番小さいのをいただいたんだ」


小さ目だけど、おそらく買えば一万は超えるだろう。
そんなおせちを味わえるなんてラッキーだと思ったものの、来年の売り上げに直結するかもしれない味見は、責任重大。

背筋をピンと伸ばして、気持ちを引き締めると、その様子を見ていた真山さんが、すごくおかしそうに笑う。


「ごめん、ごめん。リラックスして?
なにかの試験みたいだ」

「はい、すみません」


ひとりでこんなに張り切って、恥ずかしい。

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