上司に秘密を握られちゃいました。

「だから、率直に意見を聞かせて?
難しいことを聞きたいわけじゃないんだ」


私のように、いつもはおせちを口にしないひとり暮らしのOLが、どう感じるかを言えばいいのなら、難しくはない。

もともと、味のスペシャリストではない。
気負う必要はないのかもしない。


「わかりました。役に立たないかもしれませんが……」

「大丈夫。客の意見をどう商品に反映させるかは、俺の腕の見せ所だよ?
なんて、偉そうなこと言ってみた」


真山さんは楽しい人だ。
彼と話していると、自然と気持ちがリラックスしてきた。


「それでは、真山さんに尻拭いしていただくということで、私はおいしくいただきます」

「まずいな。大きなこと、言い過ぎた」


楽しい時間が流れる。
ひとり暮らしを始めてから、こんなに笑ったのは初めてだった。
< 146 / 439 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop