上司に秘密を握られちゃいました。

いけない。真山さんだ。
なにかを始めると没頭してしまう癖を直さなければ。

急いで濡れた手を拭き、玄関を開けると……。


「遅くなってごめん」


そこには息を切らせた真山さんの姿があった。

走ってきてくれたの?

口元が緩む。
大切にされていると感じたから。


「いえ。来てくれてうれしいです。あっ……」


思わず声をあげたのは、彼が私を抱き寄せたから。


「藍華さん不足だった。会いたかった」


会社ではクールに立ち回っている彼が、こんなに甘い人だなんて意外。

突然のハグに驚き、直立不動になってしまったけれど、仕事のことだけでなく、私のことも気にしていてくれたのだと思うと、うれしくてたまらない。


本当に、私の彼氏なんだ。

今更だけど、そんなことを思って幸せな気持ちに浸った。
< 175 / 439 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop