上司に秘密を握られちゃいました。
いけない。真山さんだ。
なにかを始めると没頭してしまう癖を直さなければ。
急いで濡れた手を拭き、玄関を開けると……。
「遅くなってごめん」
そこには息を切らせた真山さんの姿があった。
走ってきてくれたの?
口元が緩む。
大切にされていると感じたから。
「いえ。来てくれてうれしいです。あっ……」
思わず声をあげたのは、彼が私を抱き寄せたから。
「藍華さん不足だった。会いたかった」
会社ではクールに立ち回っている彼が、こんなに甘い人だなんて意外。
突然のハグに驚き、直立不動になってしまったけれど、仕事のことだけでなく、私のことも気にしていてくれたのだと思うと、うれしくてたまらない。
本当に、私の彼氏なんだ。
今更だけど、そんなことを思って幸せな気持ちに浸った。