上司に秘密を握られちゃいました。
いつの間にか、夢中になって企画書を読んでいた。
真山さんが帰ってきたのに気がつかないほどに。
「はぁー」
思わず大きな溜息が出た。
私の想像をはるかに超える、大変な仕事だった。
だけどその分、やりがいはありそうだ。
「どう?」
「あっ、真山さん……」
突然話しかけてきた真山さんに驚きながら、口を開く。
「この制服調達ですが……すべてをそろえるおつもりですか?」
「そうできればいいんだけど……」
「そうするとすさまじい数になります。おそらく現存していない物もあります」
五十年も前のものまではさすがに……。
「そうだね。それで困ってる」
「それなら、代表する何点かにされてはどうでしょう。
東郷を象徴するような制服が、いくつかあります」