上司に秘密を握られちゃいました。
頭の中に何点か浮かぶ。
どの時代にも、評判になった制服とそうでないものがある。
「なるほど、それならいけるかもしれないね。
実は全部集めることにこだわっていたら、企画が進みそうになくて困ってたんだ」
真山さんは優しい笑顔を見せる。
「残っていない物は、レプリカを作ってとも思っていたんだけど、オーダーにするとコストがかかりすぎてね」
『レプリカ』というのは多分……私が作った制服にヒントを得たに違いない。
「西里さん。ここにある制服の中から、どれを残すべきか考えてみてくれない?」
仕事に没頭していたら、いつの間にか彼に対するモヤモヤした気持ちが薄れていた。
彼が自分のことを『仕事バカ』というけれど、私も同じかもしれない。
彼に言われたとおり、ピックアップを始めると真山さんのデスクの内線が鳴った。