上司に秘密を握られちゃいました。

「なに、これ!」


落ちていたガトーショコラを拾い上げた美晴は、破られていた箱にしまうと、なにも言えずに立ち尽くす私を更衣室から引っ張り出し、倉庫に向かった。


「ちょっと、どうしたの?」

「わからない」


わからない。
どうしてこんなことになっているのか。

昼休憩のときは、こんな風になっていなかったのに。


「んー。嫌な噂は耳にしたけど……」

「噂?」


美晴は眉間にしわを寄せ、大きな溜息をついた。


「うん。十番の時、社員食堂で隣が受付だったのね。
それで彼女たちの話が聞こえちゃったんだけど……」


一瞬ためらうように口をつぐんだ美晴だけど、意を決したように話し始めた。


「藍華が、真山さんにしつこく言い寄っているとかなんとかって。
それで真山さんが困ってるから、皆でなんとかしようとか……」

「そんな……」
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