上司に秘密を握られちゃいました。

「私も頑張る」


美晴は大きくうなずく。


「えっ、約束してるの?」

「うん」


アパレル会社の人だ。
告白するのだろう。


「一緒に幸せになろうね」

「うん!」


美晴と話せたことで落ち着いた私は、すぐに着替えて会社を飛び出した。


走ったせいで「はぁはぁ」と上がった息を整えながら、冷蔵庫を開ける。
残っていたガトーショコラを切り分けて、皿に乗せた。

ラップをかけて……。
箱の予備がない今、これ以上どうすることもできない。

再び家を出ようとすると、スマホが鳴っているのに気がついた。


【もうすぐ着くから】


まずい。
真山さんからのメールだった。

昨日のこともあるから、早めに切り上げてきてくれたに違いない。
だけどもうすぐ、となると、私の方が遅い。


【すみません。すぐに行きます】


それだけ返すと、元来た道を慌てて引き返した。
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