上司に秘密を握られちゃいました。

いつもの和室に行くと、部屋が温まっている。
だけど、走ってきたせいで、ほんのり汗ばんでいた。


「藍華、すごくうれしいよ。でも……」


部屋に入ってきた真山さんは、一瞬口をつぐんで困った顔をする。


「本当に落としたの?」

「えっ……」

「変な噂を耳にしてね。藍華になにかあったんじゃないかと心配した」


まさか、美晴の言っていた噂を聞いてしまったの?


「いえ、なにも」


動揺して目が泳いでしまう。

本当のことを言うべきだろうか。
それとも、私が乗り越えればいいこと?

そんなことを考えていると、真山さんは再び口を開いた。


「俺は藍華のことを守りたい。それに……多分、佳乃の仕業だ」

「まさか、佳乃さんがこんなことを?」


思わぬ人の名前が出て、ひどく驚く。
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