上司に秘密を握られちゃいました。
「それじゃあ、お疲れ様」
「お疲れ様でした」
上司と部下の会話を交わした私たちは、アイコンタクトした。
「部屋で待ってる」と。
机の上に散らかっているリボンを片付け、慌てて着替える。
更衣室には誰もいなかった。
通常の入れ替わりの時間ではないから。
ケーキのことがあってから、意図的に混む時間は更衣室に近寄らないようにした。
わざわざ冷たい視線を感じに行く必要なんてない。
気にしないと言っても、今日のようにあちらから仕掛けてくることだってあるのだから。
佳乃さんはあきらめてくれただろうか。
駅までの道を小走りする。
早く彼に会いたい。
会社で毎日会っていても、ふたりきりで会えるのとは違う。
丁度すべり込んできた電車に駆け込むと、ラッシュが過ぎているからか、空いていた。