上司に秘密を握られちゃいました。

だけど私にどうすることもできない。
彼を信じて、待つだけ。

余計なことを考えないようにと、結局スーパーに寄って食材を調達した。

今日の献立は和食。
サバの味噌煮と、筑前煮。それと、明太子ソースをかけた冷奴。

味噌すらなかった彼の家に、調味料が増えていく。


材料を手際よく準備して、料理に没頭しているつもりだったのに、焦げ臭いにおい。


「あっ」


慌ててコンロの火を止めた。
ギリギリセーフ。

いつの間にか手が止まっていた。


――ピンポーン

玄関のチャイムが鳴る。
公孝さんが帰ってきた。


「はい」


コンロの火を全部消すと、駆け出した。


「おかえりなさい!」


公孝さんに飛びつかん勢いで玄関を開けると、彼は少し驚いている。


「ただいま」


全身の力が抜ける。
彼の顔を見て、なんだかホッとした。
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