上司に秘密を握られちゃいました。
「恋愛感情で私を引っ張ったと、言われたんですね」
先に口を開いた。
「藍華……」
「私はちょっと前まで派遣だったんです。いきなり本部では、そう思う人もいます」
もうそれはあきらめるしかない。
「そう、か。俺は藍華にフラれてても、本部に引っ張るつもりだったんだけどな」
彼は少し悲しそうな顔をした。
「それで……」
彼はなにかを言いよどんでいる。
問題はその先。
「同じ部署に置いておくわけにはいかないと言われた。
だけど、藍華と別れて佳乃と復縁を考えれば、話は別だと」
そんな……。
ふたりの交際に反対したのは副社長だったはず。
今さら、虫がよすぎる。
「だけど、断った」
彼の瞳に力がこもる。
「なにがあっても、藍華は手放さない」
「……はい」
我慢していた涙が、一粒だけこぼれた。