あやしやあんどん



 サトリが夢の世界にいた頃、裕太は香苗に自分の想いを電話で伝えていた。
 香苗がシロに対して恋愛感情を抱いていることを裕太は知っていた。そしてシロがその香苗の気持ちを知りつつも答えられないことを知っていた。

 シロが事故に遭い、香苗が酷く落ち込んでいたとき、裕太は内心ほっとしていたところもあった。
 そんな自分に裕太は何度も自分を責めた。親友を亡くしたくせに喜んでいるようだった。その気持ちも全て打ち明けて、男のくせに涙を流しながら、香苗に告白した。

 電話の向こうの香苗は、裕太の気持ちの全てを聞いて、相づちをしていた。いつの間にか香苗も涙している。

 裕太の気持ちがただ香苗には嬉しかった。


「俺はずっと香苗のそばにいるから!あの死神からのお墨付きだ!」

「え?」

「えと、哀川のことだけど」


 急に黙りこむ香苗。香苗にはサトリに対してどうしても反発してしまう。それが何故なのか彼女自信よく分かってはいない。


「聞いたの?」

「あぁ。あんどんていう変な喫茶店に哀川がいて、そこで」

「・・・・・・」

「長生きするって、俺」


 そう、と香苗は呟く。
 裕太と付き合うことを了承した後に告げられたサトリと裕太との接点に香苗は動揺する。
 シロと同じようにいなくなってしまうのではないのかと、香苗は不安をいだくのであった。


「それなら安心ね。死神は人の寿命が見えるんだもの」

















 翌日。
 香苗と一緒に登校していた裕太が急に倒れた。彼は香苗の目の前で倒れ、パニックを起こす香苗の前から救急車で病院に運ばれた。
 一命を取り止めたものの、彼の命は着実に死へと向かっていた。
 香苗は大切なその人を失いたくないために死神のもとへと向かう。死神はいつもの場所でただただ外を見つめていた。


「哀川サトリ!あんた、本当は裕太になんて言ったの!?」


 突然、香苗にそう言われ、驚くサトリ。
 朝のざわつきが静まり、またサトリに視線が集中する。
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