君をひたすら傷つけて
「やっと雅が戻ってきたから、泊まって欲しい」

「わかった。今日はここに泊まる。多少の化粧品はあるから、今夜一晩くらいは大丈夫。ただ、服は一度取りに戻りたい。さすがに連続で同じ服を着るのはちょっと……」

「わかったよ。じゃあ、朝に荷物を取ったら、まりえさんに挨拶をして、エマさんの事務所に行ったら、リズさんとエマさんに挨拶をしようと思う。これから雅と二人で頑張っていくと言うつもりだけどいいかな」

 このマンションに自分の服があるとはいえ、化粧品などの小物はまりえのマンションにある。今日はここにあるもので済ませ、明日の朝にまりえのマンションでするのがいいのかもしれない。

「一人で大丈夫」

「いや、今回の件で心配をかけたからまりえさんとリズさんに俺の方からもきちんとした挨拶をさせて貰おうと思う。今までのように曖昧な関係ではなく、正式に付き合いだしたから」

「そんなことしなくてもいいわ。リズもまりえも分かっているだろうし」

「そういうわけにはいかないよ。あの二人は雅の保護者みたいなものだろ。雅のご両親には落ち着いたら、一緒に挨拶に行くとして、明日はリズとまりえさんに挨拶に行くよ。結婚を前提にお付き合いします。よろしくお願いしますと言うから」

 急に結婚という言葉が出ると怖くなる。好きだし、ずっと一緒に居たいと思う。でも、結婚という文字の重みを感じる。

 私はまだ子どもを妊娠していることを言えずにいた。
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