君をひたすら傷つけて
 一緒に歩いていくことが余りにも嬉しいと思う反面、子どもの存在がお兄ちゃんを縛りそうで怖かった。自分勝手だと思うけど、引け目を感じて欲しくなかった。子どもがいるから、結婚という言葉を貰いたくなかった。

 私が好きだから結婚をしたいと言って欲しい。そう言い切れるだけの自信が私にはない。もしもこのことを知った時にお兄ちゃんがどう思うかを考えると怖かった。

「わかった。じゃ、先にシャワーを浴びてもいい?」

「ああ。ゆっくりしておいで。前と何も変えてないから」

「ありがとう」

 バスルームに入ると私はホッと息を吐いた。

 お兄ちゃんの気持ちがあまりにもストレートで幸せだけど、恥ずかしく息が止まりそうになる。少し私には冷静になる時間が必要だった。

 私はシャワーを浴びて、自分の部屋のベッドの上に寝転ぶと、自分のお腹に手を添え、目を閉じた。

 昨日まで感じた不安は払拭されていたけど、違う悩みも出来ていた。どうやって、お兄ちゃんに妊娠していることを伝える方がいいのだろう。はっきり言うべきなのか、軽く流すように言うべきなのか??

 寝ようかと思っていた時に、部屋のドアがノックされた。

「雅。起きているか?」

「ん」

「入っていいか?」

「いいよ」

 お兄ちゃんは部屋に入ってくると、私のベッドに座り、ふわっと抱き寄せた。

「リズさんとまりえさんに連絡したか?」

「まだだけど。今日はここに泊まるからすぐに連絡する」

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