君をひたすら傷つけて
 私はリズとまりえに連絡して、お兄ちゃんのマンションに泊まることになった。帰りたいと言えば、きっと、お兄ちゃんは送ってくれるだろう。でも、もうここに泊まることに私の気持ちも傾いていた。

 メールで連絡した私をお兄ちゃんはふわっと抱き寄せた。そして、トクトクという心音を私に伝えながら、声を響かせる。

「明日の予定は?」

「一応、オフだけど、エマの事務所で今日の撮影の事務処理をしようとは思ってる。元々、少人数で回している事務所だから、一つの仕事が終わると事務処理があるの。今回は代理で仕事をしたけど、報告書は私が書かないといけないから」

 一つの仕事が終わると、撮影だけでなく、衣装や小物の返却や整理、仕事で関わった方へのお礼のメールなどの送付。貰った名刺などの整理に、経理関係の書類と多岐に渡っている。一つのことを何でも自分でしないといけないのは小さな事務所ならではのことだろう。

「わかった。じゃ、今日は泊まって、明日の午前中に海の仕事があるから、その前に雅を送るから安心していいよ」

「まりえのマンションでもいい?」

「雅の好きな場所に送るから大丈夫。荷物があるだろうから、そのままエマさんの事務所まで送るよ。じゃあ、おやすみ」

「おやすみなさい」

 そういうと、お兄ちゃんは私の部屋から出ていって、しばらくして扉の向こうでシャワーを浴びる水音が聞こえてきた。一人になると少しほっとするのに、寂しい。そんな私は気持ちが不安定なのかもしれない。


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