君をひたすら傷つけて
 でも、今も私の身体の中にはお兄ちゃんの子どもが宿っている。拒絶されたらと思うと怖くて、つい、気にしてないように軽くお兄ちゃんに伝えた。お兄ちゃんは優しい人だから、拒絶はしないと思うけど、それでも、私は少しの陰りも見たくないと思うのは我儘だった。

「妊娠しちゃったの。だから、今は抱かれるとか無理で…。私も話もしたいし、抱っこはして欲しいけど」

「俺の子だよな」

「たった一度だったけど、子どもが出来たの。そろそろ三か月になると思う」

「嬉しいな……。子どもが出来たなんて」

「嬉しいの?」

 いつも冷静沈着なお兄ちゃんの顔が緩み幸せそうな微笑みを浮かべている。妊娠しているから、拒絶されるかもしれないと思っていた私はホッとした。たった、一回の事で責任を取らされるくらいなら、中絶を望む男の人もいる。

「当たり前だろ。愛している女性に子どもが出来て、喜ばない男は居ないよ。でも、子どもがいるなら、前言撤回だな」

「産んでいいの?」

「ああ、もちろんだよ。三人で一緒に幸せになろう。一緒に幸せになりたい」

 そういうと、お兄ちゃんは私の身体をふわっと抱き上げた。

「え?何??」

「俺の部屋に連れていく」

 いきなり抱き上げられ、私が振り落とされないように首に腕を回すと、お兄ちゃんは私の髪の毛に唇を落とした。そして、リビングを抜けてお兄ちゃんの寝室に入ると、お兄ちゃんは電気をつけた。


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