君をひたすら傷つけて
「義哉の兄として、弟を大事にしてくれたことを心から感謝している。それと同時に俺は雅の幸せを祈ってきた。今の状況がいいのか悪いのか分からないけど、俺は幸せだよ。この手に大好きな雅がいるのだから」

 そういって腕の力が私には胸を熱くさせた。

 私は朝まで慎哉さんの腕の中にいた。そして、何度もキスをして、お互いの温もりを感じていた。 二人で今までのことを思いだすように話しながら、お互いの欠けたピースを嵌めていくように言葉を紡いでいく。そして、抱き合ったまま、何度もキスを繰り返しているうちに夜が明けてしまった。

 自分の思っていたことと、慎哉さんの思っていたことが感じ方が違ったり、同じだったりと、曝け出しながら話しているうちに心の隙間が埋まっていくような気がした。私の思いと慎哉さんの思いは違って、素直になることがこんなに大事だとは思わなかった一夜だった。

 本当なら寝ないといけないのに、お互いに話が尽きず、次第に窓辺が明るさを取り戻してきていた。

「そろそろ起きないといけない時間だな。身体、大丈夫か?」

 後ろから私の身体を抱き寄せた慎哉さんは静かに自分の手を私の下腹部に添えた。

「少し眠いけど大丈夫」

「確かに眠いな。でも、幸せの方が勝っている。初めて仕事に行きたくないと思うよ。このまま、雅とこうしていたい。ここに俺の子どもがいるかと思うと不思議な気分だし、幸せが湧いてくる気がする」
< 1,022 / 1,105 >

この作品をシェア

pagetop