君をひたすら傷つけて
『わかった。仕事が終わったら連絡するから、迎えに来て。それと、食事前にまりえのマンションに行って必要な荷物だけを取ったら、食事に行きたい』

『了解。楽しみにしている』

 携帯を見つめているとまりえがクスクスと笑いだした。私が携帯でメールをしたのは数分だったのに、それがまりえは可笑しくて仕方ないようだった。

「何が可笑しいの?」

「雅から幸せが零れているように見えて。高取さんって見かけによらず、溺愛体質みたいだし、雅も幸せになれそうだと思ったの」

「溺愛体質って……何それ」

「言葉のとおりよ。きっと今までとは違うから」

 そんなマリエの言葉を実感したのはそれから数時間後のことだった。

 美味しい和食の店で無理のない程度に食事をして、一度、まりえのマンションに戻って、その日の泊まる準備だけして一緒にマンションに向かう。ここまでは前と一緒。でも、そこからが違った。

「雅。俺の部屋に来ないか?一緒に寝よう」

 素直に『一緒に寝たい』と言われると、断る理由もないし、温もりが優しいから、それに甘えてみたくなった。お腹に子どもがいるから、甘い夜と言うわけにはいかないけど、それでも一緒に寝る。抱き合って、キスを交わして、慎哉さんは私の身体を抱き寄せ、背中を撫でてくれる。

 話すのはいつもはリビングで話していたような仕事にかかわる事が多いけど、その中に織り交ぜられるような未来の幸せについても話す。優しい声を聞き、温もりと、背中を撫でる優しさに私は優しい眠りに落ちていく。眠りに落ちる瞬間に唇に温もりを感じ、そして、抱きしめられ眠る。それが幸せだった。

< 1,035 / 1,105 >

この作品をシェア

pagetop