君をひたすら傷つけて
「なんか恥ずかしい。そんなことを言う人だった?」

 今までの慎哉さんでは考えられないような言葉の数々に私は呆気に取られているとしか言いようがなかった。今までの慎哉さんなら言葉よりも態度で示すような優しさを感じさせる人だった。今も優しいけど、それ以上に紡がれる言葉が恥ずかしくなる。耳の後ろが熱くなる気がした。

 慎哉さんは証人のサインを貰うときにリズに言われたことを気にしているのかもしれないけど、甘い言葉に慣れてないので、私は心拍数の上がった自分の胸を抑えることしか出来そうもない。『好き』という言葉を連発するようなキャラではなかった。

 それに言葉だけでなく、今まで以上に優しい表情をする。大事にされている感じがするので嬉しいと思う反面、無理をさせているのではないかと思った。これからも長い時間を一緒に過ごすから無理はして欲しくない。

「自分の気持ちを言葉にしなかったことで、雅との関係が遠回りした。だから、大事な時の言葉は自分の心を素直に隠さない方がいいと思うようになった。それと海から……。里桜さんに対してどんなことを話すかを聞いたら、余りにも恥ずかしい言葉の連発で、さすがにそこまでのランクには到達できないと思ったけど、リズさんにも言われたことだから、善処しようかと思って。無理はしてないから、これからも海ほどではないけど、頑張るよ」

 善処って。あの溺愛??ってやつ??

「普通でお願いします。その方がいいし」

「じゃあ、今までより少しだけ自分の気持ちに素直になるというくらいでもいいか?」
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