君をひたすら傷つけて
「その方がいい。私も慎哉さんとこんな風になって、正直、今までが今までだからどうしようかと思っていた。子どものことがあるから、籍を入れて二人で子どもを迎えたい気持ちはある。でも、好きとか慣れないことを言われると、恥ずかしくて」

「わかった。じゃ、いつも通りで行こう」

「でも、少しだけ優しくして」

「それはもちろん」

 恋愛にも結婚にも人の数だけ物語がある。恋をして、結婚するというよくある一連の流れも一つとして同じはない。私と慎哉さんはその一歩目を歩き出したばかり。まだ婚約者ではあるけど、交際期間で、恋人期間。そんな一日一日を大事にしたい。

「明日、仕事が終わったらどこに行ったらいいの?」

「テレビ局で番組が終わったら、明日の仕事は終わりだから、雅はテレビ局の近くのカフェに来てくれる?詳しい時間は後から連絡する」

「わかった」

「今日、食事して帰らないか?」

「いいけど、今の時間なら、マンションに帰って私が何か作ってもいいよ」

 時間はまだ夕方で、今から買い物をしてマンションに帰っても十分な時間だった。妊娠してから味覚も変わったし、そんなに多くも食べれないから、素敵な店に行っても食べれなかったら残念だと思ってしまう。

「雅が作ってくれる料理も捨てがたいが、今日はそのまま食べていこう。たまにはデートらしいことをしよう。結婚して子どもが生まれたら、今のように自由に外食も出来なくなる。だから、雅が動ける間に二人で楽しみたい」

「でも、そんなに食べれないけどいいの?」

「コースとかではなくて、雅が食べれるものだけ食べたらいい」
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