君をひたすら傷つけて
「これはちょっと……」

「何が?」

「値段が……」

「気にしないで好きなのを選んでいいよ。こういうものは気に入ったのが一番だから」

 そう言われて、私の左手を取ると、薬指からエンゲージリングを取ると、いくつか並んであるリングの中から小さなダイヤの付いたリングを嵌めてくれた。私の好みを分かっているとしか言いようのない素敵なリングだった。シンプルなのに、どこか上品で可愛らしい。

「綺麗」

「よく似合うよ。これにする?それとも他のにする?」

「これ。素敵」

「雅が気に入ったらこれにしよう。シンプルなデザインだから、普段の仕事中に着けても違和感ないだろ。俺もこれなら抵抗なくつけられる」

「いいの?」

「いいよ。さっきも言ったけど、気に入ったのが一番だから。すみません。これをいただきます」

「畏まりました。サイズの在庫を確認してきます」

 店員さんが外した指輪を持って、店奥に入っていくと、慎哉さんはドキドキしている私の手をゆっくりと握った。

「雅に似合うのがあってよかった。とても似合っていたよ」

 しばらくして戻ってきた店員さんは伝票を持って戻ってきた。

「サイズがありました。刻印等はどうされますか?送る言葉でもいいですし、同じ言葉を刻んでもいいですし、日付とイニシャルだけの方もいます。どうされますか?決まってあるなら、今、伺いますし、後日でも大丈夫ですが」

 指輪を買うつもりではなかったから、刻印の事など何も考えてなかった。
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