君をひたすら傷つけて
「ああ。と言っても、実はリズさんの受け売りなんだ。サインをして貰いに行った後に連絡が着て、結婚式や新婚旅行はどこに行くのか聞かれた。結婚式も新婚旅行も未定だと言ったら、リズさんが雅の休みはどうにでもなるから、大事にしてやって欲しいって。

 俺も先々には考えていたけど、入籍当日のことは食事くらいしか考えてなかった。でも、考えてみたら、今日、結婚したし、ドライブして、ホテルでゆっくりするのもいいかと思って。雅には内緒になってしまったけど、今日は宿泊でいいよな」

 
 正直、嬉しいと思った。

 こんな形で結婚も決まったし、妊娠もしているから、新婚旅行も無理だと思っていた。でも、一泊でも一緒に過ごそうと思ってくれたことが嬉しい。リズに言われてかもしれないけど、それでも嬉しかった。

「何も持ってきてないけど」

「それも大丈夫。自分の荷物は持ってきているし、雅の荷物はリズさんから、スーツケースを預かっている」

「リズから?」

「さすがに雅の部屋から俺が取ってくるのはな。リズさんに相談したら、準備してくれるって。まりえさんのところに置いていた着替えと化粧品だよ。化粧品は貰いものだけど、品質はいいからって言っていた。後はホテルにあるので十分に間に合うだろ」

 まりえのマンションにはまた泊まりにくるからと、私服や下着の着替えを置いていた。化粧はきっとリズが仕事で使っているものの、試供品などだろう。

 
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